Genpaku
Genpaku
医師向け診療サポート

帯状疱疹の診療について

概要

重症例や高齢者ではしばしば帯状疱疹後神経痛(PHN)を発症し、QOLを著しく阻害する。髄膜炎/脳炎などの合併症を起こすこともあり注意が必要。

疫学

  • 加齢に伴い増加する傾向があり、50歳以上で発症率が急増する。
  • 20歳台での発症も多く、これは周りに水痘患者がいないため免疫のブースター効果が働かないためと考えられている。

リスク

  • 加齢や悪性腫瘍などを含めた免疫機能の低下、手術や放射線照射など

鑑別

  • 口唇や陰部に再発している小水疱の場合、単純疱疹が疑わしい。
  • 膿痂疹や虫刺症なども鑑別にあがる。
  • 痛みのみで皮疹が出現していない時には帯状疱疹の診断を下すのは難しく、紅斑ないし水疱出現まで待つ必要がある。

問診 、症状

「ジカジカする様な痛み」「ナイフで刺される様な痛み」など、強い痛みや異常感覚を訴えることが多い。

  • 典型的には片側の神経分布領域に、神経痛様の疼痛や知覚異常、痒みが数日から1週間続き、やがて浮腫性の紅斑が出現して小水疱が多発する。
  • 皮疹出現から約1週間まで紅斑や水疱が新生するが、約2週間で痂皮となり、約3週間程度で治癒することが多い。

身体所見

  • 足に皮疹を認める場合は臀部に、胸に皮疹を認める場合は指先など、時に離れた部位に皮疹が出現する場合があり、よく聴取する。
  • 水疱の中心には、中心臍窩と呼ばれる窪みが見られることが多い。
  • 鼻尖部、鼻背部に皮疹がある場合、眼病変合併頻度が高く(Hutchinson徴候)、耳介部の帯状疱疹では顔面神経麻痺や内耳障害を起こすことがある。(Hunt症候群)
  • 多くの神経分節に病変が跨っている場合や、全身に水痘様の散布疹が生じている場合汎発性帯状疱疹という。

検査

  • 水疱蓋または水疱底部の細胞塗抹標本をギムザ染色し、ウイルス性巨細胞を確認する。(Tzanck試験)
  • イムノクロマト法(デルマクイック®︎VZV)によりウイルス抗原を検出する。

治療

急性期の治療

できるだけ早期(可能なら72時間以内)に抗ヘルペスウイルス薬を全身投与に抗ヘルペスウイルス薬の全身投与することが基本である。

  • 免疫機能低下や、合併症がない場合、内服薬(バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル)を使用する。
  • 下記の様な状態では、入院してアシクロビルの点滴静注を行う。
    • 免疫抑制薬使用中、化学療法中
    • 発熱、頭痛、嘔吐などの全身症状を伴う
    • 汎発性帯状疱疹
    • 眼症状やHunt症候群を疑う場合(眼科、耳鼻科へコンサルト)
    • 運動麻痺や仙骨部の帯状疱疹で尿閉、腹部の帯状疱疹で便秘を伴う場合
  • 急性期の疼痛に対しては、アセトアミノフェンやNSAIDs、痛みが強い場合、神経ブロックを併用する。

*NSAIDsと腎排泄の抗ヘルペスウイルス薬併用でウイルス薬の排泄遅延をきたすため、高齢者や腎機能低下患者ではアセトアミノフェン使用が望ましい。
*外用は必須ではないが、アズノール®︎軟膏などが用いやすい。

処方例

【軽度・中程度の急性期帯状疱疹】

  • バルトレックス®︎500mg 錠(バラシクロビル)、またはファムビル®︎250 mg 錠(ファムシクロビル)1回2錠1日3回(毎食後、7日間)またはアメナリーフ®︎200 mg 錠(アメナメビル)1回2錠1日1回(食後、7日間)
  • 帯状疱疹後疼痛に対して、カロナール®︎200 mg 錠1回3錠1日3回

【重症例、または重症でなくとも免疫抑制患者の場合】

  • ゾビラックス®︎点滴静注用250mg(アシクロビル)1回5mg/kg1日3回7日間またはアラセナ-A®︎ 300mg(ビダラビン)1回 5-10mg/kg 1日1回 5日間


(1)より引用

神経痛の治療

急性期の炎症により神経が損傷、変性することで生じる

  • プレガバリン(リリカ®︎)、ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ®︎)、三環系抗うつ薬であるアミトリプチン(トリプタノール®︎、保険適用外)、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®︎)、弱オピオイドなどを用いるが、難治であることが多い。
  • 神経ブロック等も必要になることも(ペインクリニックと連携)

患者の隔離について(from CDC)

CDCは播種性帯状疱疹と、免疫不全患者の場合は全て
入院させる場合個室管理とし、空気感染予防をすることを推奨している

(2)を参考に作成

専門医紹介のタイミング

  • 帯状疱疹後神経痛に習熟していない場合、専門医紹介が望ましい。
  • 眼球周囲や耳に及ぶ場合など眼科、耳鼻科必ず紹介を。

ナレッジシェア

Genpaku公式ドクターのみが投稿できます
宮村 智裕内科一般
Verified
2021/7/17

症状について

  • 稀ではありますが、四肢麻痺や尿閉を起こす方がいます。逆に原因のわからない麻痺や尿閉などがある場合、皮疹を探しにいく方がよいと思います。

治療について

  • アシクロビル、バラシクロビル、ファムビルは腎機能容量による調整が必要です。
  • 過量投与になると脳症を起こしうるため、特に高齢者や脱水状態では必ず採血をして確認しています。アメナメビルは糞中排泄で1日1回内服のため、使いやすい印象です。
  • 適切に治療したとしても、帯状疱疹後神経痛が残る可能性は事前に必ず患者用パンフレット(参考)を渡して説明しています。長期間苦しみ続ける方もいらっしゃいます。

感染予防について

  • 病巣部が乾燥するまでは水痘の感染源となりうるため、ワクチン未接種、水痘未罹患の小児との接触を避けたほうがよいです。
  • 50歳以上を対象として水痘ワクチンが使用可能となりました。
  • 2017年に承認を取得したシングリックス®︎は免疫抑制患者にも接種可能で、0.5mlを2ヶ月間隔で2回筋肉内に接種します。

皮膚科」のほかの記事

無断複写・転載を禁じております
利用規約
©Genpaku