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アトピー性皮膚炎の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

増悪と軽快を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患 多くはアトピー素因がある。(①喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかの家族歴、既往歴 ②IgE抗体を作りやすい素因)

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

疫学

  • 乳幼児・小児期に発症し、加齢とともに減少
    • 幼児期よりも学童期に症状は悪化する傾向

自然寛解も2-3歳ごろから見られ、8-9歳で50%が自然寛解し、6歳をすぎると約90%が自然寛解するという報告も

リスク

  • 職場、生活環境における抗原や刺激物への曝露(ホコリ、ダニ、カビ、ペットの毛など様々)
  • 痒みの誘発悪化因子:温熱、発汗、ウール繊維、ストレス、食物、飲酒など

症状

診断基準として以下の3点が重要

  1. 掻痒
  2. 特徴的皮疹と分布
    1. 湿疹
    2. 分布
      • 左右対称性
      • 好発部位:額、眼囲、口囲、耳介周囲、頸部、四肢関節部、体幹
        • 乳児期:頭、顔から始まりしばしば体幹、四肢に下降する
        • 幼小児期:頸部、四肢関節部の病変
        • 思春期・成人期:上半身(頭、頸、胸、背)に皮疹が強い傾向

3. 慢性、反復性の経過

検査

  1. 血清IgE (500IU/ml以上になることが多いが、明確な基準なし)
  2. 末梢血好酸球数(重症度に相関する)
  3. 血清LDH値 
  4. 血清TARC値 (重症度に一致して上昇、病勢を鋭敏に反映)

鑑別

  • 接触皮膚炎、手湿疹
  • 脂漏性皮膚炎
  • 皮膚リンパ腫(特に経過が長い例、難治の場合皮膚生検することが重要)
  • 乾癬
  • 疥癬
  • 汗疹、膠原病(SLE、皮膚筋炎)
  • 魚鱗癬、ネザートン症候群
  • 皮脂欠乏性湿疹

治療

薬物療法

  1. 抗炎症外用薬
    1. ステロイド外用薬
    2. タクロリムス軟膏
    3. デルゴシチニブ軟膏 (JAK阻害薬、ガイドライン未収載)
  2. シクロスポリン(重症例)
  3. IL4/13受容体モノクローナル抗体 (ガイドライン未収載)
  4. バリシチニブ (経口JAK阻害薬、ガイドライン未収載)

外用、スキンケア

  1. 保湿
  2. 入浴、シャワー浴と洗浄

悪化因子の検索と除去 

  1. 唾液や汗、髪の毛との接触
  2. 衣類との摩擦、ナイロンタオルなど硬い素材の刺激
  3. 接触アレルギー、食物
  4. 吸入アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など)

その他

  1. 抗ヒスタミン薬内服 (外用薬の方が重要)
  2. 光線療法
  3. 漢方薬
  4. ステロイド内服(長期間の内服は推奨されない。使うとしても短期)

専門医紹介のタイミング

ここ数年、まだガイドラインには載っていないもののアトピー性皮膚炎治療の新薬が次々と登場しており、大きなパラダイムシフトが起こっている。
長期に渡りQOLを阻害する疾患であるため、初期治療が重要。そのため疑った時点で皮膚科紹介が望ましい。
特に皮疹が重度な場合や広範囲な場合、経過が長い例では皮膚リンパ腫との鑑別が必要で即皮膚科専門医へ紹介する。

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宮村 智裕内科一般
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2021/5/27

治療薬の進歩

顔面など軟膏について

  • 顔面はステロイド外用の副作用が出やすく、プロトピック軟膏は刺激感で使用が難しくなることが多かったです。デルゴシチニブ軟膏 (コレクチム軟膏®︎)の登場で選択肢が広がり治療がしやすくなりました

軟膏の塗り方に注意

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