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慢性膵炎の診療について

最終更新日時
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・文献等

概要

アルコール性、非アルコール性(特発性、遺伝性、家族性など)に大きく分類される非可逆性の慢性炎症。進行すると腹痛や背部痛、膵外分泌不全をきたす。 膵癌やIPMNとの鑑別が重要なため、画像検査が必須。

初期対応

アルコール飲酒歴がある腹痛や背部痛で見つかることが多い。あるいは急性膵炎を繰り返している症例で慢性膵炎に移行する。

鑑別

膵癌
IPMN(膵管内乳頭状粘液産生腫瘍)
自己免疫性膵炎(AIP)
閉塞性膵炎

問診

繰り返す腹痛、背部痛
アルコール歴
家族歴(膵炎、膵癌といわれた人がいるか)
耐糖能異常

身体所見

心窩部から左側腹部にかけての持続痛、しばしば背部から左右肩に放散

検査

血液検査

  • アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン(トリプシノーゲン)は参考程度(特異度は高い(90%以上)が感度は低い(20-30%))に。上昇することも低下することもある。複数回とって異常値が続けば診断の一助。
    • アミラーゼ上昇はたまに唾液型の場合が(アミラーゼアイソザイムの検査を考慮)画像検査で変化がなく、アミラーゼのみ軽度上昇している場合は積極的には異常を疑わないので経過観察。
  • 糖尿病の有無チェック
  • 他、一般生化学、血算は同時にアルコール性肝障害がないかどうかや、閉塞性黄疸をきたしてないかどうかなどの参考に。
  • CEA,CA19-9.SPAN-1,DUPAN-2は一度は調べて、膵癌がないか。

画像検査

  • 膵石の有無、膵管拡張の有無、実質の不均一性などを確認。
  • エコー(スクリーニング)、造影ダイナミックCT、MRCP。
  • EUSが一番詳細観察可能、同時に針生検も可能(癌合併などが疑われる場合は、EUSで詳細精査)

組織検査
よっぽどのことがない限りは診断確定のための組織採取はしない
上記に書いたように膵癌やAIPの鑑別にEUS-FNA(針生検)を行うことはある
遺伝子検査
PRSS1遺伝子検索
①原因不明の高AMY血症があり、2回以上急性膵炎をくりかえす
②1等親、2等親の家族に膵炎の既往あり
③原因不明の慢性膵炎
④小児で遺伝性膵炎の除外が必要
⑤倫理委員会が承認するプロトコールに適応する
といった場合に限られる

治療

  • 禁酒、禁煙指導
  • 腹痛時(代償期)は脂肪制限 1日30-35g
    • 非代償期は40-60gでも問題なし、むしろ糖分の摂りすぎはDM悪化につながるため、脂肪必要量はしっかりとる(全カロリーの30-40%)
  • 痛みに対しての対症療法(NSAIDs)、消化酵素薬(リパクレオン)、蛋白分解酵素阻害薬(フオイパン)
    • 8週投与にて腹痛改善なければ、内視鏡治療を検討(膵石による主膵管狭窄をステントや結石除去で解除)
    • それでもダメなら外科的切除も検討
  • 糖尿病治療

フォローアップ

アルコール性の場合は、禁酒が必要なため、安定するまでは1か月に1回のフォローを。依存症がある場合は精神科への紹介も

専門医紹介のタイミング

初回評価画像検索として、EUS目的に紹介がベスト
癌が除外できたら自分でフォローで問題なし
画像評価が難しいとき(癌や嚢胞の存在が疑われるとき)→EUSで詳細観察します
投薬で痛みのコントロールがつかないとき→内視鏡治療を検討します

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A Y消化器内科
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2021/7/12

治療について

  • リパクレオンの他に、消化酵素薬としてエクセラーゼ、ベリチームなどあるが、有効性が高いのはリパクレオン
  • ソマトスタチン(アナログ)は推奨されない
  • 大概膵炎を繰り返しているお酒がやめられない(やめられなかった)人ほとんどなので、禁酒指導が難渋

フォローアップについて

  • 痛みが落ち着いているようなら2-3カ月に1回のペースで採血や処方フォロー
  • 画像は半年から1年に1回のペース
  • 大酒家で栄養状態も悪い場合が多い

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