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医師向け診療サポート

細菌性腸炎の診療について

概要

細菌性腸炎の多くは自然治癒するため、抗菌薬を必要としないことが多い。脱水への対応が重要。

鑑別

虚血性大腸炎、炎症性腸疾患、大腸憩室炎、虫垂炎など

問診

推定原因食品、渡航歴、直近の抗菌薬使用、基礎疾患、sick contactなどを聴取。

(3)から引用

検査

・便培養検査→原因菌の同定
・血液検査→脱水、電解質異常、炎症の評価
・腹部CT・腹部超音波検査→炎症の範囲や局在、リンパ節腫大などの評価
 病原体によって感染部位が異なるため腸管壁肥厚の分布に着目すると原因菌の推定に役立つ(上図参照)
・下部消化管内視鏡検査→内視鏡所見の評価、腸液培養、粘膜生検の採取

治療

・一般的には抗菌薬を必要としないことが多く、輸液や整腸剤投与を中心とした対症療法を行う。
・止痢薬は菌の排泄を遅らせるため、できる限り投与を避ける。
・渡航者下痢症、サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎などや、重症例では抗菌薬の投与を検討する。(基本的に病原菌同定後に抗菌薬投与を行う)

Empiric therapyを考慮すべき症例

 ①バイタルサイン異常、悪寒など菌血症を疑う場合
 ②免疫不全(HIV感染症、ステロイド・免疫抑制薬の投与、担癌患者など)
 ③体内人工物手術歴
 ④渡航者下痢症
 ⑤小児や高齢者
Empiric therapyで使用する抗菌薬
 ●カンピロバクター腸炎を強く疑う場合
  クラリスロマイシン 400mg/日 分2
 ●カンピロバクター腸炎以外が想定される場合
  レボフロキサシン 500mg/日 分1
 ●キノロン系にアレルギーがある場合
  ・アジスロマイシン 500mg/日 分1(保険適応外)
  ・ホスホマイシン 2000mg/日 分4
 ●内服困難な場合
  ・レボフロキサシン(静注)500mg/日 1日1回(保険適応外)
  ・シプロフロキサシン(静注)600mg/日 1日2回 (保険適応外)
Definitive therapy
 分離菌の薬剤感受性を参考にする。

さらに

カンピロバクター腸炎 
感染後にGuillanin-Barre症候群や反応性関節炎を発症することあり。
サルモネラ腸炎
小児や高齢者、免疫抑制患者では菌血症を来たしやすく、腹腔内膿瘍、感染性心内膜炎、骨髄炎、関節炎などの腸管外病変を合併することあり。
腸管出血性大腸菌腸炎
溶血性尿毒症症候群(HUS)、血栓性血小板減少性紫斑病、脳症などを合併することあり。便培養およびベロ毒素の検出を行う。

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F T消化器内科
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2021/7/18

治療について

  • 入院加療について:頻回の下痢(10回/日以上)、嘔気・嘔吐のため経口摂取困難、バイタルサイン異常、悪寒・戦慄など菌血症を疑う症状がある、意識障害、強い腹痛症状があるなどの場合は入院加療を行っています。

フォローアップについて

発症時に血便を伴っていたり、画像所見で腸管壁肥厚を認めた症例に関しては、症状が改善して1ヶ月後くらいに悪性腫瘍の除外目的に下部消化管内視鏡を施行しています。

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