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更年期障害(治療)の診療について

概要

一番困っている/気になっている症状を聞き出し、それに対する治療法を、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬などの中から選択する。

更年期障害(想起~診断)のページも参照ください

治療

*受容、共感的態度で話を聞く(重要)。
どの症状がメインかを聴取し、対応を考える 。
血管運動神経症状、精神症状、その他(不定愁訴とまとめられる多彩な身体症状)のどれか。
一番困っている/気になっている症状を聞き出し、それに対する治療法を、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬などの中から選択する。

使い分け

1 まずは、HRTか漢方で考える。

  • 向精神病はややハードルが高いので、HRT、漢方が困難なら考える(患者さんからすると、私は精神病なの!?となり、医師も、心療内科/精神科以外の医師は処方し慣れていない人が多い)

1 -1. HRT

  • ホットフラッシュ(ほてり)、発汗(汗をかきやすい)などの血管運動神経症状には漢方薬は効きにくい

→HRTがよい。HRTは婦人科で行ってもらうのが好ましい。

1 -2. 漢方薬

  • 血管運動神経症状が強くなく、身体症状や不安、抑うつ症状などの精神症状がメインなら漢方薬がいい適応。約4週間処方し、効果を確認する 基本的には3包分3 食前(空腹時)内服
【漢方の選択】

イライラ、不安、抑うつ、冷え、便秘など 精神症状メイン ⇒ 加味逍遙散
イライラ、神経の高ぶり、怒りやすい、不眠 ⇒ 抑肝散
(冷え、便秘も訴える人が多いので、加味逍遙散を第1に使うことが多い。どちらかを試して、効果不十分なら、もう一方への変更や併用を考慮。)
疲れやすい、元気が出ない、冷えなど ⇒ 十全大補湯、補中益気湯など
更年期症状全般 ⇒ 当帰芍薬散(虚証:華奢な人)、桂枝茯苓丸(実証:がっしりした人)
など。

【更に選択肢を増やすなら】

不眠がメイン ⇒ 加味帰脾湯
冷えがメイン ⇒ 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
加味逍遙散、抑肝散で効果不十分な更年期障害もどき(常に不満を訴える感じ) ⇒ 香蘇散
食欲不振がメイン ⇒ 六君子湯
便秘がメイン ⇒ 麻子仁丸 他にも加味逍遙散、大建中湯、防風通聖散(肥満にも)
など。

2 ここまでで対応困難なら、向精神病薬も考慮。ただし更年期障害に対する保険適応はない。

・イライラ、不安等の精神症状に対して、SSRI, SNRIが有効だが、近年ホットフラッシュにも有効とされている。
少量で開始し、早期に効果の見られるまで漸増する。
気分のむらが激しい、イライラ ⇒ SSRI (デプロメール、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ)
何となく億劫でやる気が出ない ⇒ SNRI (トレドミン、サインバルタ、イフェクサー)
処方例
エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ" 錠 10 mg) 1回1~2錠・分1夕食後
パロキセチン塩酸塩(パキシル 錠 10 mg) 1回1~4錠・分1夕食後
塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト錠 25 mg) 1回1~4錠分1
ベンラファキシン塩酸塩(イフェクサーSRカプセル 37.5 mg) 1回1~6 錠分1
デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ® 錠20mg) 1回1~3錠分1朝食後

3 エクオールについて

近年、大豆イソフラボンの代謝産物で、エストロゲン活性をもつ、エクオールも有効とされ注目されている。市販のサプリで、試してもらうのも1つの選択肢。

フォローアップ

治療効果を見ながら適宜 処方した際は4週間ほどで効果判定するのが目安.
軽度で、治療介入の希望がなければ、終診可

専門医紹介のタイミング

ホルモン補充療法(HRT)を考慮する場合や、その他の治療を開始したものの効果不十分の場合は、婦人科への紹介を。
精神症状の改善が乏しい場合、うつ病やパニック障害などの可能性を考え、心療内科や精神科への紹介を。

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K K産婦人科
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2021/7/10

治療について

傾聴について

  • 不定愁訴は傾聴するだけで症状よくなることも。

始めにしっかり傾聴すると、「この先生、私のことわかってくれてる」という安心した表情になり、様々な症状の有無、一番困っている症状を一緒に確認していくうちに、「一緒に問題を解決するパートナー」と思ってくれるようになり、信頼関係を築けるのみならず、メンタル面の症状にも好影響を及ぼすことが多いです。話を聞いてもらえた満足感も大きいと思います。

  • 患者背景 (家庭、仕事などの生活における不安、ストレス等) が大きく関係していることもあり、そちらの解決が必要なこともあります。

血管運動神経症状について

傾聴のみでの解決は困難であり、薬物療法が必要になります。症状が強くなく、困っていなければ、経過観察。

HRTの開始について

HRT開始前に婦人科癌検診も必須とされていることもあり、婦人科へ紹介するのが好ましいと考えます。
(婦人科以外でHRTを実施され、子宮筋腫の増大や性器出血の増悪を来していることがあります。また、プロゲスチン製剤を併用していなくて子宮体癌を発症するケースも見かけます)

漢方の使用について

漢方は効果が出るまでに日数がかかるという話は実しやかに語られるが、実際はその日のうち~数日以内には効果を実感できることも多い。
漢方は最初から当たるとは限らないので、焦らずに1つずつ試していけばよいです。
人によって合う合わないがあるので、効かなくても次を試せばいいだけですと落ち着いて説明しましょう。
漢方薬の使い方は人によって大きく異なります。自分にあった使い方を身に着ければよいです。

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