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起立性調節障害の診療について

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参考ガイドライン
・文献等

概要

思春期に好発する自律神経機能不全。心身症としての側面が強いが、身体機能異常が中心であり、身体的治療によってかなり改善する。

疫学

一般中学生の約1割、小児科を受診する中学生の約2割を占めるとも言われる。

鑑別

起立性調節障害の診断の前に、身体基礎疾患を評価し、鑑別診断を行う必要がある。

問診・症状

以下のうち少なくとも3つ以上、1ヵ月以上持続する。

*症状は起立位や座位で増強、臥位で軽減。
*午前中に強く、午後に軽減することが多い。

『心身症としてのOD』チェックリスト

以下のうち4項目が時々(週1~2回)以上みられる場合、心理社会的因子の関与ありと判定し「心身症としてのOD」と診断する。

身体所見

虐待・ネグレクトやいじめの兆候がないかどうか、全身を診察する(患児との関係性による)

検査

検尿、便潜血、CBC、電解質、腎機能、肝機能、甲状腺機能、心電図、胸部X線、
→基礎疾患の除外(特に貧血や甲状腺機能低下症ないか)
→失神の既往があれば身体疾患の除外
→新起立試験
※失神があれば、ホルター心電図、脳波、HUT(Head-up tilt)試験、心エコーなど

新起立試験

従来の起立試験(シェロングテスト)に起立後血圧回復時間測定を加えたもの
起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群、血管迷走神経反射性失神、遷延性起立性低血圧のサブタイプを見きわめ、重症度を判定する。

サブタイプ

重症度

治療

①疾病教育:「身体疾患である」ことを説明する。

必ずよくなるが、治療には時間がかかるので焦らないように」と伝える。

②非薬物療法:

水分・塩分摂取
生活リズム改善(早寝早起き / 夜は眠くなくても日常就寝時刻より30分早く布団に入るように努め消灯 / だるくても日中は身体を横にしない)
生活指導(起き上がるときはゆっくり / 長時間の立位を避ける / 暑気を避ける)
運動療法(足踏みや15分程度の散歩)
弾性ストッキング装着

③学校への指導や連携:必要に応じて診断書の発行も

静止状態での起立を3~4分以上続けない
暑気を避ける
体調不良が出現したら、すみやかに臥位にする、等

④薬物療法

中等症以上で 効果判定は2週間を目途に、無効な場合には変更する

  • 塩酸ミドドリン
  • メチル硫酸アメジニウム
  • プロプラノロール  

※年齢によって処方量が変わるので添付文書確認

フォローアップ

注意点

  • 症状がつらくて登校できないことが続けば、登校すること自体に不安を感じるようになり、そのストレスにより症状が引き起こされるという悪循環に陥る。
  • 怠け癖があると思われ、「根性」論で治すことを親や教師から強要されると、周囲に対して不信感を持つようになり、関係性の悪化や社会的孤立などの二次障害を引き起こす。

専門医紹介のタイミング

4週間の治療によって、症状がまったく改善しない場合
初診時からすでに1ヵ月以上の不登校が生じている場合

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K K精神科
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2021/7/22

治療について

  • 学校への指導:担任や養護教諭に、起立性調節障害の病態生理について説明する。
    • 「身体の病気であり、起立や坐位で脳血流が下がり、思考力・判断力が低下する」という医学的機序を説明。
    • 必要があれば、クラスメイトにも。
    • 診断書の提出も効果的な場合もある
  • 子どもへの心理カウンセリングは必須ではない

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