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先天性QT延長症候群(先天性LQTS)の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

QT間隔の延長とトルサード・ド・ポワント型多形性心室頻拍を認め、失神や突然死を引き起こす症候群

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

疫学  

多くは遺伝性であり、安静時からQT間隔が延長していることが多い。
浸透率は100%ではなく、遺伝子変異を有していても心室不整脈を発症しない例や明らかなQT延長を示さない例もあり、正確な有病率は不明だが0.1%程度。
β遮断薬治療が行われないと、初回失神発作から1年以内の致死率は21%もあるが、適切なβ遮断薬治療が行われれば、15年間の致死率は1%にまで改善する。   

診断

診断基準

以下のいずれかを満たす

  • QT延長をきたす二次性因子がなく、先天性LQTSスコア ≥3.5の場合
  • 先天性LQTS遺伝子に病的変異を認める場合
  • QT延長をきたす二次性因子がなく、補正QT間隔(QTc=QT/√RR、Bazett式) ≥500msを示す場合
  • 遺伝子変異、二次性因子がないが、失神を認めQTc 480-499msを示す場合

QTcの計算式はこちらを参照
二次性の原因についてはこちら参照

先天性 LQTS のリスクスコア

先天性QT症候群のリスクスコア表
*1 TdPと失神の両方ある場合は2点
*2 各年齢の安静時心拍数の2パーセンタイル値を下回る場合
*3 両方ある場合は1点
QTの間隔の計測の仕方について。T波の下降部に接線をひき、それと基線がまじわるところとQの間隔をはかる
先天性QT症候群の波形のパターン。LQT1は幅広いT波。LQT2は平低ノッチ型T波波。LQT3は遅発性T波。
T波オルタナンス:T波の形態、波高、極性などが1拍ごとに変化する現象
T波の極性がいれかわるT波オルタナンスの図

遺伝子型によって治療やリスクもことなりますし、遺伝子診断も保険適用になっています。
診断基準は細かいので明らかな二次性のQT延長がない患者を見かけたら循環器内科紹介を。リスクスコアの項目に該当する場合は特に紹介が必要です。(循環器内科 S Y)

治療(予防)

生活指導

  • LQT1では激しい運動、水泳やマラソンは避ける。
  • LQT2では目覚まし時計や電話などの突然の音刺激を避ける。
  • QT延長作用を有する薬(エリスロマイシンなど)の服用を避ける。

内服治療

  • β遮断薬
    • β1非選択性のβ遮断薬(プロプラノロール、ナドロール)
  • Naチャネル遮断薬
    • メキシレチン(Ib群)
  • Ca拮抗薬
    • β遮断薬のみでは再発を完全に抑制できない例に併用で処方される
  • カリウム補充薬(低K血症の補正)

非薬物治療

植え込み型除細動器

VF または心停止の既往を有する症例(Class I)
トルサード・ド・ポワント、失神の既往②突然死の家族歴③β遮断薬に対する治療抵抗性のうち2つ以上満たす場合(Class IIa)

ペースメーカー

β遮断薬の投与により徐脈となり、徐脈による症状が出現した場合。
徐脈が増悪因子となりトルサード・ド・ポワントをきたす例も適応となるが、植え込み型除細動器の普及・小型化により植え込み型除細動器が使用されることが多い。

治療(急性期)

トルサード・ド・ポワント発生時

心室細動出現時は電気的除細動。

トルサード・ド・ポワントの停止と急性期の再発予防

硫酸マグネシウムの静注(30~40 mg/kgを5~10分間で静注し、1~5 mg/minで持続点滴)
β遮断薬(プロプラノロール)の静注
抗不整脈薬(リドカインおよびメキシレチン)あるいはCa 拮抗薬(ベラパミル)が停止に有効なこともある。

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