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肺血栓塞栓症(肺塞栓、PE)の診療について

概要

胸部X線所見のわりに呼吸数の増加や脈拍の増加などみられるときなど強く疑う

疫学

60-70歳代にピーク。女性がやや多い。

リスク

3ヶ月以内の手術/ 肥満(BMI≧30) / 不動 / 悪性腫瘍
ほか、感染症/ ホルモン補充療法 / 血栓症既往
*特にリスクのない特発例も40%ほど( Nakamura M, et al. : Circ 78: 708-717, 2004)

症状

  • 呼吸苦(72〜76%)
  • 胸痛(43〜48%)
  • 発熱(10〜22%)
  • 失神(19〜22%)
  • 動悸(22%)
  • 咳嗽(11〜16%)
  • 冷汗(8〜25%)
  • 血痰(6%) *参照文献より 検査前確率の確認として Wells score(計算サイト

検査

  • D-dimer(加齢,癌,炎症,外傷,手術などでも上昇する)
  • 動脈血液ガス分析(低O2、低CO2、呼吸性アルカローシスなど認めることがある)
  • 心電図(頻脈、右脚ブロック、V1~3の陰性T波・R波増高 参考
  • 胸部X線(左3・4弓の突出→右室および右室流出路の拡大 / 左2弓の突出→主肺動脈の拡大 / 右2弓の突出→右房拡大 参考
  • 心臓超音波検査(右室拡大、拡張期の中隔扁平化(D-shape)、三尖弁逆流、肺動脈の拡大など 参考
  • 造影CT(参考
  • 肺血流シンチグラフィ
  • ほか肺動脈造影や経食道超音波(参考)、MRI(参考

治療

  • 抗凝固療法
  • 血栓溶解療法:ショックがある場合など
  • IVCフィルター:抗凝固療法ができない患者や抗凝固療法でも増悪する患者に考慮する
  • 循環管理・呼吸管理:(ドブタミンやノルエピネフリンの考慮)
  • 心肺停止の場合はすぐPCPS

専門医紹介のタイミング

診断した(あるいは疑った)時点ですぐ専門医へ。

さらに

  • 外科治療は患者の状態や施設によって検討する
  • カテーテル治療については肺動脈内に血栓溶解薬を散布するのは末梢投与と有意差ないためパルススプレー法など併用が不可欠
  • PESIスコア(バイタル変化 / 心疾患合併 / 悪性腫瘍の合併 / 80歳以上)なども用いてリスク評価(計算機

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白石 達也循環器内科
Verified
2021/5/2

抗凝固薬の倍量投与

リバロキサバン(3週間15mg2錠分2)、アピキサバン(1週間5mg4錠分2)の倍量投与ができるようになってから、リスクの低い患者は外来で加療するようになりました。いずれもCCr 30以上必要ですが。アピキサバンの投与チェックページ / リバロキサバン投与チェックサイト

小鷹 悠二循環器内科
Verified
2021/5/2
  • 最近では災害時の車中泊や避難所生活等が深部静脈血栓症、肺塞栓のリスクとなる事が報告されているため、水分摂取や下肢運動などが重要
  • 術後の安静解除後などの発症も多いため、リスクがある患者では深部静脈血栓症等の評価は必要

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