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群発頭痛の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

眼窩部周辺の激しい痛みに顔面の自律神経症状(結膜充血、流涙、鼻汁など)を伴う頭痛で、20-40歳代の男性に多くみられる。発作は数分-数時間続き、その発作は群発期として一定期間(数週-数か月)集中して起きる。群発期が終わると寛解期(数か月-数年)となり、繰り返される。

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

疫学

有病率は0.1%前後(片頭痛は8.4%)。発症年齢は20-40歳代、男性が女性の3-7倍多いとされる。ただ近年女性の発症比率が増加している。(喫煙などの生活習慣の変化によると言われている。)

リスク

誘発・増悪因子:アルコール飲料、ニトログリセリン、ヒスタミン
患者背景:大酒家、ヘビースモーカー

鑑別

くも膜下出血、脳動脈解離、急性緑内障発作、三叉神経痛、内頚動脈海綿静脈洞瘻、副鼻腔炎、片頭痛、甲状腺眼症など

問診

・発症様式(突然発症、慢性経過など)
・発症状況(何をしているときに頭痛が始まったのか)
・リスクとなる誘発・増悪因子の聴取
・痛みの強さ・部位・性状・持続時間
・随伴症状があるか(特に顔面の自律神経症状に注目して聞く)
・発作の頻度(初発なのか、繰り返し起きているのか)
・繰り返しているなら、痛みが起きる時間帯も聞けるとよい
*鑑別のため既往歴、特に心血管系イベントリスク(高血圧、糖尿病、高脂血症など)の有無も確認

症状

▶頭痛:約90%が片側性で、極めて強い痛み。人生で一番痛いと表現されることもある(くも膜下出血と鑑別注意)。群発的かつ1日に数回繰り返し起きうる。
▶痛む部位:眼窩部、眼窩上部、側頭部など
▶時間帯:深夜~明け方に多いとされる。
▶痛みの持続時間:15分~180分
▶顔面の自律神経症状:結膜充血、流涙、鼻閉、鼻汁、眼瞼浮腫、顔面の発汗・紅潮、耳閉感、縮瞳、眼瞼下垂
▶そわそわしている、興奮などの症状

身体所見

・神経脱落症状の確認(緊急性の高い二次性頭痛や頭蓋内病変除外のため)

検査

※基本的に群発頭痛はこれらの検査で異常がみられることはないので、他の疾患の除外のために施行する。

  • 髄膜刺激症状の有無(あればくも膜下出血や髄膜炎を疑う)
  • 頭部・副鼻腔CT(くも膜下出血・脳動脈解離・内頚動脈海綿状静脈洞瘻などの頭蓋内病変、副鼻腔炎などの鑑別)
  • 頭部MRI・MRA(くも膜下出血や脳動脈解離などが疑われ、CTでは判断がつかない場合。緊急性がなければスクリーニングとして予定検査で行ってもよい。)
  • 眼圧検査(急性緑内障と鑑別に迷ったとき。実際はその前に眼科へコンサルトすることになると思われる)
  • 血液検査:スクリーニング的に一般採血。甲状腺眼症の鑑別には甲状腺ホルモンや抗甲状腺抗体を測定。

治療

▶急性期治療
・スマトリプタン3mg皮下注射(1日6mgまで)
・純酸素吸入(7L/分で15分間)※在宅酸素療法は保険適用となっている
▶予防的治療(適応外使用が認められているもの)
・カルシウム拮抗薬(ベラパミル)内服
・副腎皮質ステロイド内服
※ベラパミルについては、海外で360mg/日内服での予防効果が確認されているが、徐脈や心不全の副作用もあり注意が必要。内服量については使い慣れていなければ専門医で相談が望ましい。
※副腎皮質ステロイドについても明確な基準はなく、例としてプレドニゾロン60-100mg/日の内服を5日間投与し漸減する、などの方法がとられる。漫然と使用するのは望ましくない。こちらも使用が必要と思われる場合は専門医での相談が望ましい。

▶群発頭痛と似た頭痛の鑑別と治療(専門外来レベル)
・群発頭痛とよく似た性状を示す『発作性片側頭痛』『持続性片側頭痛』『結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)』『頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)』という頭痛がある。
・そもそも頭痛分類において、群発頭痛は『三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)』という大きなくくりの中の1疾患であり、上記4つの疾患はそのTACsに含まれるものである。
・簡単にいうと1回の発作時間に違いがあり、『発作性片側頭痛』と『持続性片側頭痛』に関してはインドメタシンが著効するという特徴がある。
・SUNCT、SUNAに対してはラモトリギンやガバペンチン、トピラマートが有効。

フォローアップ

・リスクとなる生活習慣の是正、規則正しい生活の指導。
・難治の場合は頭痛専門外来へのコンサルトを行う。

さらに

▶緊急度の高い頭痛のred flag
・5歳以下もしくは50歳以上の初発の頭痛
・5分以内にピークに達する急性の発症
・局所神経所見(片麻痺、失調、構音障害など)
・項部硬直
・全身性の症状・徴候:熱発、筋肉痛、体重減少、発疹
・頭部の圧痛、外傷、高血圧など心血管系イベントリスクの既往

専門医紹介のタイミング

・一般診療では、緊急性の高い疾患(くも膜下出血や動脈解離など)を除外し、群発頭痛の患者を拾い上げ、急性期治療(スマトリプタン皮下注射)の処方をし、速やかに(もしくはコントロールに難渋しそうであれば)専門外来へ紹介するので十分かと思います。

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M M内科一般
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2021/7/15

・頭痛が治まっている時に外来受診した場合は特に、随伴症状についてはクローズドクエスチョンで聞き出すのがいいと思います。なかなか患者さんからは言い出さないので。
・群発頭痛は適応使用となる薬が少なく、適応外使用の薬を使用せざるを得ないことも多いと思います。
【適応外使用の薬】
▶急性期治療
・スマトリプタン点鼻薬
・ゾルミトリプタン5-10mg/日の内服
・ソマトスタチン、リドカイン、コカイン、エルゴタミン
・NSAIDs
・発作性・持続性片側頭痛の可能性があればインドメタシンを試してみるのも考慮
▶予防的治療
・酒石酸エルゴタミン(1-2mg)就寝前投与
・炭酸リチウム
・抗てんかん薬:バルプロ酸、ガバペンチン、トピラマート
・バクロフェン
・片頭痛の予防で使用されるβブロッカーは無効なことが多く使用されない。

▶薬物療法以外の療法
・神経ブロック
・三叉神経根切除・翼口蓋神経節切除などの外科的療法
・脳深部刺激療法(DBS)
・経頭蓋的磁気刺激
・末梢神経刺激

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