Ca拮抗薬、ARB・ACE阻害薬、利尿薬はじめ、各降圧薬について特徴や代表薬剤を記載しています。

Ca拮抗薬

降圧薬の中でも降圧作用が強力であり、糖代謝、脂質代謝、電解質代謝に悪影響を及ぼさない。
ジヒドロピリジン系(DHP):末梢血管に選択性が高く、心収縮抑制や刺激伝導系の抑制はみられない。

  • 短時間作用型のニフェジピンは強力な降圧作用を持つ反面、血圧も動揺しやすく虚血性心疾患を増悪させる可能性も指摘されている。長時間作用型DHP系は悪性腫瘍や心筋梗塞発症の増加がないことが確認されている。
  • L・N型:交感神経終末のノルアドレナリン放出抑制あり、L型の心拍数増加が無いとされる
  • 頭痛、動悸、ほてり、顔面紅潮、浮腫、歯肉増生や便秘などが起こりうる。

フェニルアルキルアミン系(PAA):心筋選択性が高い*日本では高血圧治療薬としての適応はない
ベンゾチアゼピン系(BTZ):刺激伝導系の抑制作用が強い。末梢血管拡張作用はDHP系に劣る。

  • PAA系、BTZ系いずれも刺激伝導系を抑制するため徐脈性不整脈などでは禁忌。またβ遮断薬との併用は注意する。

Ca拮抗薬の比較(ニフェジピン・アゼルニジピン・ベラパミル ほか、チャネルなど)
薬剤名と投与量について説明します。 アダラートCR / ニフェジピン	10~80mg 分1~2 アダラートL / ニフェジピン	20~40mg分2 ペルジピン / ニカルジピン	30~60mg分3 バイロテンシン /  ニトレンジピン	5~10mg分1 ニバジール / ニルバジピン	4~8mg分2 スプレンジール / フェロジピン	5~20mg分2 ヒポカ / バルニジピン 	5~15mg分1 コニール / ベニジピン	2~8mg分1 カルスロット / マニジピン	5~20mg分1 カルブロック / アゼルニジピン	8~16mg分1 ランデル / エホニジピン	20~60mg分1~2 アテレック / シルニジピン	5~20mg分1 サプレスタ / ベック / アラニジピン	5~20mg分1 アムロジン / ノルバスク / アムロジピン	2.5~10mg分1 ベラパミル / ワソラン	120~240mg分3 ヘルベッサー / ジルチアゼム	90~180mg分3 ヘルベッサーR	100~200mg分1
*ベラパミル / ワソランの血中濃度は参考(イヌ)

アムロジン2.5mgやアダラート20mgあたりから開始することが多いです。その後フォローして高い場合は増量するか、他の薬を足すかします。
内服前後は柑橘類などで濃度上昇することがある(4時間は避けると説明している団体もある)
歯肉増殖症や浮腫など起こすことがあるので、開始後は歯茎や下腿をみるようにしてます。
どのCa拮抗薬でも歯肉増殖症はきたしうるようですが一応発症率を調べた文献だと以下のようです。
ニフェジピン > ジルチアゼム > マニジピン > アムロジピン > ニソルジピン > ニカルジピン ( 小野眞紀子, 他:歯薬療法. 2008;27(2):79-85.  Ono M, et al:Int J Oral-Med Sci. 2010;9(2):96-100.
(循環器内科 白石達也)

ARB

妊婦や授乳婦への投与は禁忌、また両側性腎動脈狭窄例では急速な腎機能低下をきたすことがあるので禁忌である。
低Naや高Kを引き起こす可能性があるので注意する。高齢者やCKD患者は腎機能低下起こさないか2~4週間でフォローする。
大部分はクラスエフェクトとされるが、ロサルタンの尿酸降下作用はエビデンスが集積している。

特に分け隔てなく使用しますが、ニューロタンなどの降圧はあまり強くない印象です(慢性心不全+低血圧でACEI飲めない人などに使ったりしています)。
ちなみにARBの降圧効果の比較について限定された状況ではありますが、こういうデータもあります。
アジルサルタン20mg(アジルバ) > オルメサルタン 20mg (オルメテック) > テルミサルタン40mg (ミカルディス)> カンデサルタン8mg(ブロプレス) > ロサルタン50mg(ニューロタン) > イルベサルタン100mg(アバプロ) > バルサルタン80mg (ディオバン)
研究結果で、ランダム化された集団に対して降圧薬毎の降圧効果を述べます。薬の数字は単位mg、降圧の単位はmmhgです。アジルサルタン20mgは15.3mmHg、オルメサルタン20mgは14.7、テルミサルタン40で13.7、カンデサルタン8で12.9、ロサルタン50で11.9、イルベサルタン100で8.2、バルサルタン80で7.9でした。
Satoh, Michihiro et al; The velocity of antihypertensive effects of seven angiotensin II receptor blockers determined by home blood pressure measurements. Journal of Hypertension:Volume 34, p1218-1223(2016)
(循環器内科 白石達也)

ACE阻害薬

  • 高血圧患者における心血管イベントや全死亡リスクの低減効果はARBと同等とされる
  • 冠動脈疾患の発症リスクを有意に抑制することが示されている
  • 糖尿病患者では,心筋梗塞リスク,全死亡リスクを低下させることもメタ解析で示されている。
  • ACE 阻害薬,ARBがともに CKD患者や糖尿病性腎臓病(DKD)患者での末期腎不全への進行を抑制し, CKD 患者での心血管イベントも抑制する
  • ACE 阻害薬では CKD 患者での全死亡の抑制効果も認められる。

副作用ではブラジキニンの作用増強による空咳がある一方,咳の誘発が誤嚥性肺炎を防止するとされる。
重要な副作用として血管神経性浮腫があり,DPP-4 阻害薬との併用では血管神経性浮腫が増加するとの報告がある。

COVID-19の重症化を考えるとRA系阻害薬を使用することが大丈夫なのか躊躇われる時期がありましたが、内服自体は特にCOVID-19の重症化リスクをあげるものではない、という報告が多数あがってきています(https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2777978 など)
(循環器内科 白石 達也)

直接的レニン阻害薬

国内ではアリスキレンのみ。

  • ARBやACE阻害薬が副作用などで使えない場合など特に適応がある。
  • ARBやACE阻害薬を投与中の糖尿病患者では高Kや低血圧増加報告され禁忌とされている。
    • またeGFR<60のCKD合併高血圧でもARB,ACE阻害薬との併用は原則禁忌
  • イトラコナゾール、シクロスポリンとの併用や妊婦への投与も禁忌である。

利尿薬

eGFR ≧30ならばサイアザイド、eGFR < 30ならばループ利尿薬を投与する。(30未満だと、サイアザイドによる降圧効果が見込まれないため)

  • 低Naや低K、低Mgなど電解質異常や高尿酸血症、高TG血症、耐糖能低下に注意が必要。

サイアザイド系利尿薬の比較
サイアザイド系利尿薬について薬剤名、Tmaxの時間、T1/2の時間、投与量 の順で説明します。トリクロルメチアジド / フルイトラン	1.75	2.3	2~8mg / 日 ヒドロクロロチアジド / ダイクロトライド	2-2.6	9	25~100mg / 日 インダパミド / ナトリックス	1.9	19.8	2mg / 日 トリパミド / ノルモナール	3-4	9-10	15~30mg / 日 メフルシド / バイカロン	1.5-5.5	2.9-11.4	25~50mg / 日

  • サイアザイド系利尿薬は、糖・脂質代謝への悪影響の観点からβ遮断薬との併用は勧められない。
  • ループ利尿薬と異なり尿中Ca排泄は低下する。このために腎結石の予防として投与される一方、高Ca血症の原因ともなる。

ループ利尿薬の比較
ループ利尿薬について、薬剤名、Tmax(hr)の時間、T1/2(hr)の時間、投与量について説明します。フロセミド/ ラシックス	1-2	0.35	20~80mg / 日 トラセミド / ルプラック	0.9	2.2	4~8mg / 日 ブメタニド / ルネトロン	0.5	-	1~2mg / 日 アゾセミド / ダイアート錠	4±0.7	2.6	60mg / 日。注意点としてループ利尿薬は低Albの場合、効果が減弱する

  • ループ利尿薬はサイアザイド系利尿薬に比して利尿作用は強いが降圧降下は弱い。
  • ループ利尿薬は低Albの場合、効果が減弱する
  • トラセミドは抗アルドステロン作用があり、低Kを起こしづらい
  • アゾセミドは作用時間が長い
ループ利尿薬の換算としては
ラシックス40mg ≒ トラセミド4~8mg ≒ ダイアート60mg
くらいで切り替えの時はイメージしますが、一緒ではないので、もし切り替えた時は短期間で一度フォローしたほうが良いです。
(循環器内科 白石 達也)

血圧がやや低い高齢心不全の方で、ループ利尿薬を中止→あまり血圧が上がらない割に心不全だけ増悪してしまうことなどがありました。心不全などある場合の中止は注意が必要と思います。
(循環器内科 白石 達也)

β遮断薬

β遮断薬の比較
β遮断薬について、β1非選択性、β1選択性、アルファベータ、ISAあり、ISAなしの順で、薬剤名、投与量について説明します。ビンドロール / カルビスケン	20mg/日 カルテオロール / ミケラン	10~20mg/日 プロプラノロール / インデラル	30~60mg/日 アセブトロール / アセタノール 	200~400mg/日 メトプロロール / セロケン / ロプレソール	40~80mg/日 アテノロール / テノーミン 	25~50mg/日 ビソプロロール / メインテート	2.5~5mg/日 ビソプロロール / ビソノテープ	2~8mg/日 ベタキソロール / ケルロング	5~10mg/日 カルベジロール / アーチスト	5~20mg/日 アロチノロール / アルマール	10~20mg/日 ニプラジロール / ハイパジール	3~6mg/日

  • 房室伝導を低下させるので、徐脈やII度房室ブロックなどでは禁忌
  • β遮断単独での褐色細胞腫への使用は禁忌
  • 倦怠感や、うつ、糖・脂質代謝への悪影響を考慮する。

慢性心不全への保険適応があるのはカルベジロールとビソプロロール。
*内因性交感神経刺激作用(ISA):これがあると、β遮断による脈拍低下や心機能抑制が抑えられるためいいかと考えられていたが、心不全や虚血性心疾患に対して好成績を挙げたものはISAがないβ遮断薬であったため、あまりあるとよいと思われてはいない。
*β1選択性:β2への活性もあると気管支平滑筋への影響も考えられるため、喘息やCOPD患者ではβ1選択性が高いものが好まれる。

高血圧というよりは慢性心不全に使用することが多いです。
ビソノテープという貼付剤がでたので、内服難しい方にも使いやすくなったなと感じます。
(循環器内科 白石 達也)

α遮断薬

エブランチル、カルデナリン、デタントール(徐放製剤や緑内障に使う点眼薬ある)、ミニプレス、ハイトラシン、バソメット
褐色細胞腫の血圧コントロールに使用される。
前立腺肥大症を伴う排尿障害を有する高血圧患者に使用しやすい。
初回投与現象として起立性低血圧や動悸などある。

心血管リスク低下のエビデンスがはっきりしないので推奨されておらず。降圧効果を意識しないで前立腺肥大症治療薬としての側面だけみて処方しているとふらつきなどの副作用に困らされるので注意が必要です。
(循環器内科 白石 達也)

MR拮抗薬

スピロノラクトン(アルダクトン)、エプレレノン(セララ)、エサキセレノン(ミネブロ)

  • スピロノラクトンはMR選択性が低いため、性ホルモン受容体を介して女性化乳房や月経異常などの副作用がある。
  • エプレレノンは内分泌性副作用は低減。ただし中等度以上の腎機能障害(CCr50mL/分未満)患者や微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者への投与は禁忌。
  • エサキセレノンはeGFR 30~60やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併する患者においても使用できる。またステロイド骨格を持たないため、女性化乳房などの副作用ない。

中枢性区間神経抑制薬

メチルドパ、クロニジン、グアナベンズがある。
RA系阻害薬やCa拮抗薬、サイアザイド系利尿薬を使用しても降圧目標に達しない場合にMR拮抗薬やβ遮断薬、α遮断薬に次いで追加考慮される。
妊娠高血圧に安全に使える。
立ちくらみ、眠気、口渇、倦怠感、EDなどに注意。

その他

ヒドララジン。即効性あり高血圧緊急症に用いられる。妊娠高血圧症候群にも安全に使える。
副作用として、頭痛、動悸、頻脈、浮腫などある。また連用するとSLE様の症状をきたすことがある。