背景リスクから降圧目標や降圧薬の選択を考える。朝と晩の血圧の両方が目標血圧を達成してはじめて家庭血圧の降圧目標を達成したと考える。
*二次性高血圧については要因となっている疾患の加療を行う。

治療の開始タイミング

○140 / 90mmHg 以上の場合

  • 低~中リスク:生活習慣是正で1ヶ月後に再評価。
  • 高リスク:ただちに薬物加療を開始。

○130-139 / 80-89mmHg

  • 低~中リスク:生活習慣是正で3ヶ月後に再評価。
  • 高リスク:生活習慣是正で1ヶ月後に再評価。

再評価で十分な降圧なければ薬物加療の考慮
診察室血圧でリスクを分けます。130-159/80-99の場合、予後影響因子ないなら低リスク。130-159/80-99で65歳以上あるいは男性あるいは脂質異常症あるいは喫煙歴あるとき中等度リスク、130-159/80-99で脳心血管既往あるいは非弁膜症心房細動あるいは糖尿病あるいは蛋白尿のあるCKDのいずれかあるいは、65歳以上か男性か脂質異常症か喫煙のうち3つがある場合、高リスク。160-179/100-109ならリスク全くなければ中等度リスク。160-179/100-109でリスクがいずれかある場合は高リスク。180/110以上の場合は高リスクです。
(1)より引用

生活習慣是正について

  • 食塩摂取の制限 <6g/day
  • 野菜・果物の摂取
  • 飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を控える
  • 多価不飽和脂肪酸および低脂肪乳製品の摂取
  • 適正体重の維持 BMI < 25
  • 運動(軽強度の有酸素運動を 30分/日あるいは180分/週以上)
  • 飲酒制限(エタノール換算で 男性20〜30ml/日、女性10〜20ml/日)
  • 禁煙

治療開始後の目標値

Age<75歳は診察室BP 130 / 80mmHg未満、家庭BP125 / 75mmHg未満
Age≧75歳は診察室BP 140 / 90mmHg未満、家庭BP135 / 85mmHg未満
を目指す。
また併存疾患により降圧目標は調整する。

抗血栓薬内服中の目標

  • 130 / 80mmHg未満を目指す

脳血管疾患ある場合の目標

  • 脳出血 / くも膜下出血 / 脳梗塞(両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈の狭窄ない)
    • 130 / 80mmHg未満を目標
  • 脳梗塞(両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈の狭窄があるか、未評価)
    • 140 / 90mmHg未満を目標

心疾患ある場合の目標

  • 虚血性心疾患 / 心房細動
    • 130 / 80mmHg 未満を目標
  • 心不全
    • HFrEF 110-130mmHg (2)より
      • ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、MRA、利尿薬、Ca拮抗薬(長時間作用型のジヒドロピリジン系以外は避ける)
    • HFpEF 130mmHg未満を目標
      • 利尿薬を中心とした降圧薬療法

腎不全ある場合の目標

  • 蛋白尿あり(0.15g/gCr以上)で 130 / 80mmHg未満を目標
    • RA系阻害薬を推奨
  • 透析患者
    • 現段階では数値目標を決定することは困難で、出血性合併症を生じず、内シャント血流を維持できて透析中の血圧低下を生じない程度で患者ごとに安全域を定めるのが現実的。
    • HD 後収縮期血圧 110mmHg 未満および180mmHg 以上は、140〜149 を基準とした場合、心血管死亡率がそれぞれ2.8倍〜2倍増加する

大動脈疾患ある場合の目標

  • 大動脈解離(慢性期)
    • 収縮期血圧130mmHg未満を目標
  • 大動脈瘤
    • 収縮期血圧105~120mmHgに維持することが望まれる

治療薬の選択

積極的適応となる治療薬があるか確認

積極的適応がない場合は、Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・利尿薬の中から選択する。
Ⅰ度(140-159 / 90-99)の場合は少量から開始
Ⅱ度以上(>160 / 100)の場合は常用量あるいは少量併用から開始も考慮
病態毎の積極適応になる薬の説明です。左室肥大ある場合はCa拮抗薬かACE阻害薬/ARB。EF低下した心不全の場合はARB/ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬。頻脈の場合は非ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬かβ遮断薬。狭心症の場合はCa拮抗薬かβ遮断薬。心筋梗塞後はARB/ACE阻害薬かβ遮断薬。蛋白尿あるいは微量アルブミン尿を有するCKDはARB/ACE阻害薬
(1)より引用

禁忌や慎重投与がないか確認

高血圧で禁忌になる病態について説明します。Ca拮抗薬は、非ジヒドロピリジン系のものは徐脈で禁忌。心不全は慎重投与。ARBは妊娠で禁忌で腎動脈狭窄症や高カリウム血症で慎重投与。ACE阻害薬は妊娠・血管性浮腫・特定の膜を用いるアフェレーシス・血液透析で禁忌、腎動脈狭窄症や高カリウム血症で慎重投与。サイアザイド系利尿薬はナトリウム・カリウム減少している人で禁忌、痛風・妊娠・耐糖能異常で慎重投与。β遮断薬は喘息・高度徐脈・未治療の褐色細胞腫で禁忌、耐糖能異常や閉塞性肺疾患、末梢動脈疾患で慎重投与
(1)より引用

(1)より引用
さらに各薬剤については降圧薬の比較もご参照ください

75歳以上高齢者に対する降圧

  • 忍容性があれば収縮期血圧140mmHg未満
    • 併存疾患によって収縮期血圧130mmHg未満が目標とされる場合は140を到達したあと個別に判断し目指す。
  • フレイルや要介護状態にある患者は個別に判断
  • エンドオブライフにある高齢者は予後改善目的の降圧薬適応はなく中止も検討する