Genpaku
Genpaku
医師向け診療サポート

アルコール性肝障害の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

アルコール過剰摂取(エタノール換算1日60g以上、女性やALDH2活性欠損者は40g)が肝障害の主な原因となっている病態で、禁酒によりAST,ALT,ɤGTPが改善するもの。

疫学

大酒家は240万、問題飲酒者は300-400万人と推定される
飲酒率は女性76.7%、男性90.8%(2003年時点)
ADLH2の完全あるいは不完全活性欠損者は約4割

リスク

肥満では1日60gに満たなくてもアルコール性肝障害をきたすことがある

鑑別

ウィルス性肝炎、薬剤性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、非アルコール性脂肪肝炎など
飲酒歴があればアルコール性を疑い、さらに他肝疾患の除外あるいは合併を視野に各種検査をする

問診

1日アルコール性摂取量 エタノール60gとは、それぞれ日本酒3合、ワイン5杯、ビール1.5Lくらい
依存があるかどうか(コントロール障害、飲酒中心の生活、生理学的特性:耐性や離脱症状など のうち2項目あれば診断)

症状

自覚症状はないことが多い
肝炎になると倦怠感、食欲不振、体重減少(栄養障害による)、
肝硬変になると腹水による腹部膨満、黄疸、意識障害(アンモニア高値)、吐血など

身体所見

肝硬変に至れば、クモ状血管腫、女性化乳房、手掌紅斑、黄疸、腹水、浮腫、意識障害など

検査

血液検査
肝機能一般 特にGTPは上がりやすい、AST優位のトランス上昇も
免疫グロブリン IgAが上昇することが多い、自己免疫性肝炎ではIgG、PBCではIgMが上昇
Hb,ビタミンB12低下で大球性貧血のチェック
PIVKAIIの上昇も他の肝疾患より多い(肝癌マーカーだが)
*肝炎ウィルスマーカー、抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体の陰性を確認すること。
画像検査
エコー、CT(造影ダイナミック)では脂肪肝の有無や肝硬変の有無、肝癌の有無をチェックす
上部消化管内視鏡
可能であれば。肝硬変の場合は静脈瘤評価で必須
肝生検
禁酒によっても肝障害が改善しなかったり、他の要因が疑われる場合は検討される

治療

禁酒 4週間の禁酒で数値は改善が見込まれる
依存症が疑われる場合は精神科へコンサルト
肝硬変になっている方は、症状に対する治療が必要(腹水や浮腫には利尿剤、肝性脳症には下剤やリファキシミン、分枝鎖アミノ酸製剤、静脈瘤治療など)

フォローアップ

禁酒継続できていて、肝障害改善したら健診フォロー
肝炎が遷延していたり、肝硬変の場合は1-3カ月に1回のフォロー、投薬や定期的な画像検査など

専門医紹介のタイミング

急激に状態悪化したときは、重症アルコール性肝炎の可能性あり
禁酒できないときは消化器専門医より精神科への紹介が望ましい

ナレッジシェア

Genpaku公式ドクターのみが投稿できます
A Y消化器内科
Verified
2021/7/12

診断について

以前の診断では、以下の言葉があった
常習飲酒家:日本酒換算3合(エタノール80g)以上を毎日、5年以上
大酒家:日本酒換算5合以上を毎日、10年以上

禁酒について

消化器内科では禁酒指導し、禁酒ありきでの診療がメインになるので、場合によっては禁酒できていないと検査や投薬、フォローを一切しません、と掲げているところもある。
禁酒していったん良くなっても再開すれば必ず肝障害は再発することを説明するが、本人含め家族の理解が重要。
アルコールの影響で肝不全になること、肝癌以外にも食道癌、膵炎、膵癌などなるべく怖い話をして禁酒できるように進める
「自分でお酒に強いと思っていても、数値に出ているということは体はアルコールに弱いという意味です」
「もう一生分のお酒は飲んだので、これから元気に過ごすためには禁酒しないといけない」など説明して説得しています

重症アルコール性肝炎について

慢性アルコール性肝炎がある人が酒量の増加などにより一気に具合が悪くなる
肝炎は肝機能障害の増悪、PT低下、WBC上昇、肝腫大、発熱、腹痛などの症状がでる
PT 50%以下、WBCで多核球の著増を認める場合に診断され、1年以内の死亡率も40%と高い
ステロイド、血漿交換、血液透析、血球除去療法などが治療で行われる
感染症、腎不全、消化管出血、DICなどの合併が予後に寄与する

消化器内科」のほかの記事

無断複写・転載を禁じております
利用規約
©Genpaku