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過敏性腸症候群の診療について

概要

腸が精神的ストレスや自律神経失調などの原因で刺激に対して過敏な状態になり、便通異常を起こす病気。器質的疾患の除外が必要。

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

疫学

有病率は約10%

リスク

  • ストレス
  • 感染性腸炎後(感染性腸炎罹患後、数年間は腸管の炎症が改善してもIBSを発症しやすい)

鑑別

  • 炎症性腸疾患
  • 大腸癌
  • 甲状腺機能異常
  • 感染性腸炎
  • 慢性膵炎
  • 子宮内膜症

問診

IBSのRomeⅣ診断基準

  • 過去3ヶ月間に1週間につき1日以上腹痛が繰り返し起こり、下記の2項目以上を認める。
  • 排便に関連している(排便によって症状が軽快する)
  • 排便頻度の変化と関連している
  • 便形状(外観)の変化と関連している

  ※少なくとも6ヶ月以上前から症状が出現し、最近3ヶ月間は上記基準を満たす。
警告症状の有無を確認
 ・発熱
 ・関節痛
 ・血便
 ・6ヶ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少。

症状

腹痛を伴う便通異常が持続する。
倦怠感、不安、不眠、頭痛、頻尿、発汗、動悸などを伴うこともある。

身体所見

警告徴候の有無を確認
 ・腹部腫瘤触知
 ・腹部の波動
 ・直腸指診による腫瘤触知や血液付着

検査 

通常臨床検査

 ・血液生化学検査(血糖、膵酵素を含む)、末梢血球数、炎症反応、TSH
 ・尿一般検査
 ・便潜血検査、便培養検査
 ・腹部単純X線検査
 
※上記の通常臨床検査結果で、便潜血陽性、貧血、低蛋白血症、炎症反応陽性のいずれかがある場合、もしくは警告症状・徴候がある場合、下部消化管内視鏡検査もしくは大腸造影検査を行う。

診断

各種検査、Rome IV診断基準を用いて行う
便の性状と割合で下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分ける
 ・硬便、兎糞状便が25%以上、かつ軟便、水様便が25%未満→便秘型
 ・軟便、水様便が25%以上、かつ硬便、兎糞状便が25%未満→下痢型
 ・硬便、兎糞状便が25%以上、かつ軟便、水様便が25%以上→混合型
 ・いずれも満たさない→分類不能型
分類にはないが、腹部膨満が強かったり放屁が多い場合を臨床的にはガス型(分類不能型に含む)

治療

すべての型に共通

  • 消化管機能調節薬(セレキノン®)、プロバイオティクス(ビオフェルミンなどの整腸剤)、高分子重量体(コロネル®、ポリフル®)を投与。
  • 消化管蠕動促進薬(ガスモチン®、六君子湯)
  • 食事療法(十分な水分摂取、水溶性食物繊維18g/日以上)
  • 運動療法
  • 生活習慣の改善

下痢型

  • 5HT3拮抗薬(イリボー®)
  • 必要時、止痢剤追加

便秘型

  • 粘膜上皮機能変容薬(リンゼス®)
  • 必要時、下剤追加(刺激性下剤の常用は避ける)

ガス型

  • 低FODMAP食

Fermentable(発酵性) Oligosaccharides(オリゴ糖:小麦、玉ねぎなど) Disaccharides(二糖類:ヨーグルト、牛乳など) Monosaccharides(単糖類:蜂蜜、果物など) and Polyols(ポリオール:人工甘味料キシリトールなど)
発酵性が強いものを控えることでガス産生を抑える

フォローアップ

  • 薬物の用量を調整しながら4~8週間投与し、症状が改善すれば治療継続あるいは終了。
  • 改善がなく、ストレスや心理的異常の関与している場合は、適宜抗うつ薬や抗不安薬の投与を行う。
  • 上記投与でも改善が乏しい場合は、心理療法を行うため専門科へ紹介。

専門医紹介のタイミング

警告症状・徴候を認める場合は、器質的疾患の除外目的に紹介。
疑わしい症状や徴候がない場合でも、投薬で症状が改善しない場合は精査のため紹介を。

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F T消化器内科
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2021/7/18

治療について

  • 粘膜上皮機能変容薬にはリンゼスとアミティーザがあるが、リンゼスは内臓痛覚神経線維に作用するため痛みや不快感を改善する効果が期待できる。
  • イリボーは性別によって用量が異なるため注意。男性:5μg 1日1回 女性:2.5μg 1日1回 (効果不十分の場合はそれぞれ倍量まで)

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