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閉塞性動脈硬化症:ASO(末梢動脈疾患:PAD)の診療について

概要

全身の動脈硬化疾患の精査も重要。薬剤のみならず運動療法なども重要。

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

リスク

  • 年齢(60歳以上 1~3%)
  • 男性
  • 糖尿病(オッズ比 3~4倍)
  • 喫煙(オッズ比 3~4倍)
  • 高血圧(オッズ比 1.5~2倍)
  • 脂質異常症
  • 冠動脈疾患(冠動脈疾患患者の13~19%がABI 0.9未満と報告)
  • 透析(透析患者の15~24%がABI 0.9未満と報告)

症状

  • 間欠性跛行、足のしびれや痛み

身体所見

  • 皮膚の色調の変化
  • 閉塞部位から末梢部位での動脈拍動の低下~消失(足背動脈・膝窩動脈・腸骨動脈の触知)
    • 触知部位の近傍に狭窄がある場合、thrillの触知や血管雑音の聴取

鑑別

  • 腰部脊柱管狭窄症
    • 立位での疼痛誘発・大腿部の痛みに注意
  • 慢性コンパートメント症候群
  • 慢性静脈不全症
  • 変形性股関節症
  • 足〜足関節の疾患

検査

  • ABI測定
  • 運動負荷後のABIの測定
  • 下肢動脈超音波、下肢CT Angiography、下肢MR Angiography、動脈造影

診断

  • ABI ≦ 0.90のとき
  • ABI 0.91〜1.39でも運動負荷でABI低下する場合
    • 運動負荷後ABI測定:傾斜 12%,速度 2.4 km/h で 5 分間トレッドミル歩行の後にABI が 15 以上低下,もしくは足関節血圧が 20mmHg以上低下
  • ABI 1.4以上かつ血管検査で異常の場合

治療

運動療法

  • 跛行を生じる強度で症状出現したら休むを繰り返す。30〜60分/回、週3回3ヶ月以上。

抗血小板薬治療

無症候性の場合は、合併する動脈疾患が無い限りは投与をする必要性はない

  • シロスタゾールは症状改善が期待できる(心不全ない場合)
    • シロスタゾール投与できない際に考慮する他の薬剤:PGE1製剤、スタチン、ACE阻害薬、L−カルニチン
  • アスピリン又はクロピドグレルも考慮できる。脳血管イベント予防についてはエビデンスがある。

動脈硬化リスク因子の治療
カテーテルなど血行再建

  • 保存的治療への反応悪い場合

重症下肢虚血(CLI 安静時疼痛がある / 患肢の潰瘍や壊死を伴う場合)の場合は専門科紹介

  • 血行再建はもちろん切断術も考慮されることがある

専門医紹介のタイミング

  • 全身の動脈硬化疾患の精査を考えるとき(20%に心筋梗塞や脳梗塞が認められるとされる)
  • 血行再建(カテーテル・バイパス)を考慮するとき
  • 重症下肢虚血のとき

さらに

  • 補助療法として
    • 高圧酸素療法:糖尿病性足病変と合併する重症感染症や骨髄炎に効果が期待できる
    • 血管新生療法、脊髄電気刺激法、和温療法

参考

(1)末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)(JCS 2015)
(2)TASC II Working Group:C 間歇性跛行.下肢閉塞性動脈硬化症の診断・治療指針 I(I 日本脈管学会訳),メディカルトリビューン,東京,2009,37–49
(3)間歇性跛行症 例に対する薬効評価法─日本脈管学会間歇性跛行重症 度評価小委員会報告─.脈管学 2000; 40: 851–857
(4)Rutherford RB, et al: Recommended standards for reports dealing with lower extremity ischemia:revised version. J Vasc Surg 1997; 26: 517–538

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白石 達也循環器内科
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2021/5/8
  • 膝下の病変に関してははカテーテル治療後の開存率が著しく悪いので、バイパス術までのBridgeTherapyなどでなければ基本的には行わない。
  • 下肢の、特に末梢のバイパス術を行える術者は全国で限られているが末梢の血行再建についてバイパスを相談してみるのはよいと思われる。
  • 血管内治療後の抗血小板薬については、バルーン治療の場合はアスピリンだが、ステント留置した場合は抗血小板剤2剤(DAPT:アスピリン+チエノピリジン系)。ステントがベアメタルステントの場合はDAPT1ヶ月、薬剤溶出性ステントの場合は2ヶ月程度とされている。


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