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医師向け診療サポート

機能性ディスペプシアの診療について

概要

症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないにも関わらず、慢性的に胃もたれや胃痛などの上腹部症状を呈する疾患。

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

疫学

健診受診者の11~17%といわれる

リスク

胃・十二指腸運動異常、内臓知覚過敏、胃酸分泌、感染性胃腸炎の既往、消化管の微小炎症、
遺伝的要因、生育環境、心理社会的因子、運動・睡眠・食事内容や食習慣などのライフスタイルなど
多因子が複合的に関与している。

鑑別

胃癌、食道癌、膵癌、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、慢性胆嚢炎、消化管手術後、
糖尿病、甲状腺疾患、薬剤起因性疾患(NSAIDs、低用量アスピリン)

問診

病歴、年齢、検査歴、ピロリ菌感染の有無
器質的疾患を疑うアラームサインの有無
 ①高齢での新規症状発現
 ②体重減少
 ③再発性の嘔吐
 ④出血
 ⑤嚥下障害、嚥下痛
 ⑥腹部腫瘤
 ⑦発熱
 ⑧食道癌や胃癌の家族歴

症状

胃痛や胃もたれなどの上腹部症状。

検査

①アラームサインがある場合や、治療後に症状が改善しない場合

上部消化管内視鏡検査→器質的疾患の除外。

②内視鏡検査で症状の原因となる所見がない場合

H.pylori診断→陽性の場合は除菌療法を行う。
(除菌後6ヶ月~1年後に症状が消失または改善した場合、H.pylori関連ディスペプシアと診断する)

③腹部超音波検査/CT検査→膵癌、慢性膵炎や慢性胆嚢炎の除外

血液・尿検査→膵疾患、糖尿病や甲状腺疾患の除外。

治療

説明と保証/食事・生活改善指導

上部消化管の機能的変調によって症状が生じており、生命予後に影響する病態の可能性が低いことを説明する。
高カロリー脂肪食を避け、規則正しくバランスのとれた食事を摂り、睡眠時間を確保するようにする。

薬物療法 4~8週間毎に治療効果を確認しながら最適な治療法を見出すようにする。

一次治療

  • 酸分泌抑制薬(PPI、H2ブロッカー、P-CAB)
  • 運動機能改善薬(アコチアミド:AChE阻害薬)
  • 漢方薬(六君子湯)

二次治療

  • 抗不安薬、抗うつ薬(タンドスピロン、三環系抗うつ薬)
  • 運動機能改善薬
    • ドパミン受容体拮抗薬:メトクロプラミド、ドンペリドン、スルピリド、イトプリド
    • セロトニン5-HT4受容体作動薬:モサプリド
  • 漢方薬 半夏厚朴湯など

*FDに保険適応があるのはアコチアミドのみ。

専門医紹介のタイミング

アラームサインがある場合や、治療後に症状が改善しない場合に精査目的に紹介が必要。

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F T消化器内科
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2021/8/13

検査について

上腹部症状で受診された場合は、できるだけ初期の段階で腹部超音波検査と上部消化管内視鏡検査を両方するようにしています(消化管以外の悪性疾患の見逃しも怖いため)。治療開始後も症状が改善しない状態が続く場合は腹部CT検査を検討します。

治療について

まず酸分泌抑制薬を処方して、効果が得られなければアコチアミドを併用しています。
それで効果が得られない場合はアコチアミドを六君子湯に変更しています。

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