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肩の痛み(急性)の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

受診前1-2週の間で急に発生した肩の痛み。外傷やスポーツが原因のこともあるが誘因なく突然生じることもある。

初期対応 

冷却や三角巾固定を行い、消炎鎮痛剤の使用を検討する。

鑑別

骨折(上腕骨近位端骨折、鎖骨遠位端骨折、肩甲骨骨折)、石灰沈着性腱板炎、腱板損傷
痛風・偽通風性肩関節炎、化膿性肩関節炎、
頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニア、
虚血性心疾患、胆嚢炎、自然気胸、う蝕 など

問診

  • 直近の外傷歴やスポーツの状況を聴く。
  • 腕を挙げることができるかどうか(着衣や整容が大変かどうかなど)

*肩関節を運動させても症状がほとんど変化しない場合、既往やその他症状も鑑みて虚血性心疾患や胆嚢炎、自然気胸など可能性も考える。

  • 安静時にも強い痛みがある場合は、感染も含めた肩関節炎の可能性も考える。
  • 臥位や寝返りなど、夜間就寝時の痛みでは腱板断裂や肩関節周囲炎を考える。
  • 頚部痛や肩甲骨周囲の痛み、前腕以遠の痛みやしびれがあるようなら、頚椎疾患可能性も考える。
  • 上腕の痛みの場合には肘の診察も行う。

身体所見

  • 疼痛部位周囲の腫脹や熱感、発赤や皮下血種の有無を確認する。
  • 同部位の圧痛も確認し、三角筋周囲以外の圧痛には肩関節以外の疾患可能性も考える。  
  • 肩関節の可動域制限を自動と他動で左右差を確認する。  

検査

骨折疑い
上腕骨近位端では、外科頚や大結節、小結節に骨折を生じやすい。
鎖骨遠位や肩甲骨も、圧痛があれば撮影および評価を検討する。
腱板損傷疑い
painful arc sign : 肩関節を外転方向に挙上した際に、60-120°の範囲で疼痛を感じるがそれ以外の範囲では感じない場合で陽性
empty can test:棘上筋テストの一つ。外転30°で親指が床を向くように肩関節を内旋した状態で、肩関節の外転に対して抵抗力を加え左右差をみる。
MRI検査:腱板損傷部はT2高信号となる。腱の断端の不整は変性を表す。
石灰沈着性腱板炎疑い
肩関節正面X線:大結節より近位で、関節周囲に石灰化を認める。極めて少量のこともある。
肩関節炎(感染・痛風・偽痛風など)
肩関節穿刺を検討する。穿刺液が細菌培養で陽性となれば感染を強く疑う。
痛風では尿酸ナトリウム、偽痛風ではピロリン酸カルシウム結晶が陽性となれば疑う。  

専門医紹介のタイミング

虚血性心疾患や胆嚢炎、自然気胸など疑われる場合
骨折があれば、三角巾固定・鎮痛剤処方し整形外科専門医へ紹介
腱板損傷では症状が軽微であれば消炎鎮痛剤の効果をみるが、強い症状であれば整形外科専門医へ紹介
関節炎疑われるものの関節穿刺が困難な場合
関節穿刺から化膿性関節炎疑われる場合

フォローアップ

骨折の保存加療では特に早期には転位出現することがあるため、1週間おきなどこまめにレントゲンをフォローする。骨折型によって上肢の荷重開始時期が異なる。

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H T整形外科
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2021/7/18

検査について

  • 関節穿刺はハードルあるかもしれませんが、肩の化膿性関節炎は股関節・膝関節ほどではないものの、ある程度緊急性あります。ステロイド肩関節内注射の既往やDMなど免疫低下例に注意です。

治療について

  • 化膿性関節炎について無菌操作で関節液の培養提出してもらえれば、ブ菌などを狙って抗生剤加療始めてしまってもよいかとは思います。ただ、関節内は移行性が悪いこともあって通常の抗生剤選択とやや異なることに注意です。スペクトラム的にはユナシンあたりで始めるのですが、LVFXが移行性が良く単回投与で楽だと感じることもあります。
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