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低ナトリウム血症(低Na血症)の診療について

概要

Na<135mEq/Lのこと。症状がはっきりしない場合でも、心不全患者において低Na改善が予後を改善したという報告や、実は歩行障害を生じているなど報告もある。体液量・急性か慢性かを判断し介入を検討する。

診療スライド

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スライドで診療に必要な情報をすばやく把握できます。
詳細については、下記のドキュメントを参考にしてください。

症状

頭痛、悪心・嘔吐、精神状態の変化,昏迷,神経筋の興奮性亢進,反射亢進,痙攣,昏睡
といった症状が重症の場合認められる

鑑別

まず血漿浸透圧が正常かどうか?
血漿浸透圧(plasma osmolality)(mOsm/kgH2O)=2×[Na+]+Glucose(mg/dL)/18+BUN(mg/dL)/2.8
計算アプリ

血漿浸透圧が低下している(<280mOsm/L)とき

所見や病歴より外液量(循環血漿量)について増加 / 減少 / 正常に分類する。

外液量が増加が明らかな場合

腎不全・ネフローゼ症候群 / 心不全 / 肝硬変

  • 全身、腹部や下腿の浮腫など
  • レントゲンでの胸水貯留など
  • Creなど腎機能確認
  • BNPなど心機能確認

外液量が低下が明らかな場合

摂取低下 / 嘔吐や下痢(胃液吸引も含む)/ 3rd spaceへの水分の移動(火傷など含む)
利尿薬の使用 / 塩類喪失性腎症 / アジソン病

  • 病歴の確認(食事摂取低下や体重減少など)
  • 口腔粘膜や皮膚の乾燥など確認
  • 内服薬の確認
  • アジソン病疑われる場合、コルチゾールやACTH負荷試験

外液量が正常範囲あるいは増加や減少が明らかでない場合

自由水が上昇して低Na血症になっている状態。

  • 尿中浸透圧≦100mOsm/kg:心因性多飲 / 溶質不足(ビール多飲など)
  • 尿中浸透圧>100mOsm/kg
    • 尿中Na>20mEq/L
      • SIADH(バソプレシン分泌過剰の原因について(1)、(3)も参照を)
      • 甲状腺機能低下症(TSH、FT4を評価)
      • 糖質ステロイド欠乏(コルチゾールやACTH負荷試験)
    • 尿中Na≦20mEq/L
      • 腎不全・ネフローゼ症候群 / 心不全 / 肝硬変
      • 摂取低下 / 嘔吐や下痢(胃液吸引も含む)/ 3rd spaceへの水分の移動(火傷など含む)

血漿浸透圧が低下していない(≧280mOsm/L)とき

代償性あるいは偽性低Na血症を考える

  • 高血糖
  • 浸透圧性利尿薬の使用(マニトール / グリセオール)
  • 高中性脂肪血症
  • 高蛋白血症(パラプロテイン血症、多発性骨髄腫など)

などが原因となる。

治療

有症候性の場合

急性の場合(明らかに2日以内に出現した場合)

  • 高張食塩水を使用する
  • フロセミドの使用を考慮する

補正速度1~2mEq/L/hrかつ<12mEq/L/dayになるよう注意する。

慢性の場合(2日以上経過している、あるいは不明な場合)

  • 高張食塩水あるいは0.9%生理食塩水
  • フロセミドの使用を考慮する

補正速度1~1.5mEq/L/hrかつ<8mEq/L/dayになるよう注意する。

状態合わせての加療

外液量が増加が明らかな場合

  • ループ利尿薬
  • トルバプタンの使用

外液量が低下が明らかな場合

  • 原因の除去
  • 細胞外液負荷

外液量が正常範囲あるいは増加や減少が明らかでない場合

  • SIADH、腎不全・ネフローゼ症候群 / 心不全 / 肝硬変のとき飲水制限(1日1L未満)
  • 甲状腺機能低下、副腎不全症であればその加療
  • 心因性多飲 / 溶質不足(ビール多飲など)はその治療を行う
  • SIADHであればその原因の除去、水制限を行う。またデメクロサイクリン、トルバプタンを考慮する。

さらに
3%食塩水の作り方の例

0.9 %生理食塩水400mL(500mL ボトルから注射器で100mLだけ捨てる。)に10%食塩水 6アンプル(=120mL)を加える。

高Na血症が進行しているかの判定

尿(Na+K)濃度>血清 Na 濃度 → 高Na血症は改善傾向
尿(Na+K)濃度<血清 Na 濃度 → 高Na血症は悪化傾向

輸液 1 L 投与後の血清 Na の変化の予測(Adrogue-Madias 式)

ΔNa=〔輸液(Na+K)-血清 Na〕÷(現在の体重×0.6+1)
*3%食塩水はNa 513mEq/Lになる。

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