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血便・下血の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

上部消化管からの出血では黒色便を生じることが多く、下部消化管からの出血では主に血便を生じる。出血量が著しく多い場合、上部消化管からの出血でも血便になることがある。

初期対応

・バイタルサイン(意識、呼吸、脈拍、血圧、体温など)を確認し、緊急性を判断する。
・出血性ショックを疑う徴候や意識障害を伴う場合、必要な処置を行い循環動態の安定化を図る。
 ・気道確保
 ・酸素吸入
 ・血管確保
 ・大量輸液
 ・輸血

評価

・出血性ショックを示唆する感度の高い症状の有無を確認する。
  不安
  頻脈、頻呼吸
  弱い末梢脈拍 
  四肢冷感
  皮膚が蒼白もしくは斑紋状  

・循環血液量の30%以上が失われるまで血圧は低下しない。 
・ショック状態ではない場合も、出血が進行し容態が悪化する可能性があるため、経時的にバイタルサインを確認する。

鑑別

上部消化管出血
逆流性食道炎、食道胃静脈瘤、Mallory-Weiss症候群、胃・十二指腸潰瘍、胃腫瘍(癌、悪性リンパ腫、GISTなど)、急性胃粘膜病変(AGML)など
下部消化管出血
大腸憩室出血、虚血性腸炎、炎症性腸疾患、大腸腫瘍(癌、ポリープ、悪性リンパ腫)、感染性腸炎、薬剤性腸炎、急性直腸潰瘍、放射線性腸炎、痔核など
小腸出血
小腸動静脈奇形、小腸潰瘍(薬剤性、非特異的、結核、ベーチェット病など)、小腸腫瘍(癌、ポリープ、悪性リンパ腫など)、メッケル憩室、クローン病など

問診

・出血の性状、量、頻度および随伴症状(腹痛、発熱、悪心・嘔吐)
・内服歴(抗凝固薬、抗血小板薬、NSAIDs、ステロイド、鉄剤などの有無)
・既往歴(消化管出血の既往、心・肝・腎疾患、血液透析、大腸憩室症など)
・嗜好歴(飲酒、喫煙)
・直近の内視鏡検査の有無、ピロリ菌除菌歴の有無

身体所見

 ・バイタルサイン
 ・貧血の有無
 ・黄疸、下腿浮腫、腹水貯留の有無
 ・腹部圧痛や腹膜刺激症状の有無

検査

血液検査→貧血、BUN/Cre比上昇、電解質異常、凝固異常、肝・腎機能異常の有無を確認。
腹部造影CT→消化管壁肥厚(腫瘍、潰瘍性病変、腸炎などを疑う)、大腸憩室、肝硬変、静脈瘤、造影剤の血管外漏出の有無などを確認。
内視鏡検査→出血源の同定。
出血源となる疾患を推測し、上部消化管内視鏡検査か大腸内視鏡検査を選択する。
上下部内視鏡検査を行っても出血源不明の場合は小腸出血を念頭にカプセル内視鏡もしくはバルーン小腸内視鏡検査を行う。

治療

内視鏡的止血術
内視鏡検査で出血源が同定できれば、同時に内視鏡的止血術を行う。 
血管内治療
内視鏡的止血が困難な場合や再出血を繰り返す場合に行う。

専門医紹介のタイミング

すぐに紹介が必要な症例

 ・上述の出血性ショックを疑う徴候を認める場合
 ・多量(洗面器いっぱいくらい)の鮮血便や黒色便が出ている場合

翌日の紹介を検討してもよい症例

 ・貧血やBUN/Cre比の上昇がない黒色便
 ・少量の血便

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F T消化器内科
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2021/7/18

鑑別について

  • 多量の血便に腹痛を伴う場合は虚血性腸炎、腹痛を伴わない場合は大腸憩室出血の可能性が高い。寝たきり状態の高齢者では直腸潰瘍出血の可能性を疑う。

紹介について

  • 翌日以降に紹介する場合は、当日朝絶食の上、午前中早めに受診するように指示していただけると内視鏡検査がすぐに必要と判断した際に対応しやすいので助かります。

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