Genpaku
Genpaku
医師向け診療サポート

意識障害の診療について

最終更新日時
参考ガイドライン
・文献等

概要

まずはバイタル・ABCDの安定を。

初期対応

  • ABCDの安定を。気道確保、また循環動態が不安定であれば輸液や昇圧剤による
  • 蘇生を行い、低体温があれば復温するなど全身管理と同時に原因の鑑別を進める
  • まず低血糖を除外する。ビタミンB1欠乏が疑われる場合、糖投与により
  • ウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があるため、ビタミンB1も補充する
  • ABCを安定させた上で、巣症状があれば、CTやMRIなどの画像検査を急ぐ
  • 血栓溶解療法や血管内治療の適応がある症例では、
  • 神経内科医など関係者に迅速に連絡しておく
  • 病歴が聴取できないことが多いため、目撃者や家族からの情報が重要
  • 緊急性があるものを優先し、AIUEOTIPSの語呂を用いて原因検索する

鑑別

AIUEOTIPS

  • Alcohol  急性アルコール中毒、アルコール離脱、Wernicke脳症
  • Insulin  低血糖、高血糖、ケトアシドーシス
  • Uremia  尿毒症
  • Endocrin 内分泌(甲状腺、副腎)
  • Electorolytes 電解質異常 (高Na, 低Na, 高Ca,低Ca)
  • Encephalopathy 脳症
  • Oxygen 低酸素脳症、一酸化炭素中毒
  • Opiate 麻薬
  • Overdose 薬物中毒、悪性症候群
  • Trauma 外傷
  • Temperature 低体温、高体温
  • Infection 感染症
  • Psychiatric 精神疾患
  • Porphyria ポルフィリア
  • Stroke 脳出血、脳梗塞
  • SAH くも膜下出血
  • Seizure 痙攣
  • Shock ショック

評価

意識障害の評価と診察

  • 意識障害の程度はGCS(Glasgow Coma Scale)を使う評価が標準的。
  • 意識障害評価の手順
  1. 体位、姿勢、体動、開眼を確認。覚醒していない場合まず
  2. 普通の声で呼びかけ、覚醒しなければ大声で呼びかける
  3. さすり刺激を与え、覚醒しなければ痛み刺激を加える
  4. 眼窩上縁内側は三叉神経第1枝が出ていく場所で、軽い刺激で強い痛みが
  5. 誘発される。特に脊髄損傷が疑われ、そのレベル以下の痛み刺激が
  6. 無効である可能性があれば有用である

瞳孔評価のポイント

  • 正常は3-7mm, 左右差は1mmまで
  • 対光反射の求心路は視神経 (Ⅱ)、遠心路は動眼神経(Ⅲ)なので、正常であれば両神経の機能は保たれている
  • 対光反射の消失かつ散瞳  → 動眼神経の障害(鉤ヘルニアや後交通動脈瘤破裂などによる神経の圧迫や、脳幹の障害)
  • 対光反射があり、両側散瞳 → 抗コリン作用のある薬物の中毒や、代謝性意識障害である場合が多い
  • 両側瞳孔が著明に縮瞳 → 橋出血、オピオイド中毒、ベンゾジアゼピン中毒を疑う 

眼位評価のポイント

  • 両側眼球が内転 → 鉤ヘルニアによる両側の外転神経や神経核障害
  • 片側の水平共同偏視 → 同側大脳半球の障害や、反対側のてんかん発作
  • 一般に、テント上病変では病側に偏位し、テント下病変では健側に偏位する
  • 下方偏視 → 視床や中脳背側の障害
  • 共同偏視で、画像上異常がない → てんかん発作を疑い、持続脳波計を考慮

運動の見方、解釈

  • 筋トーヌス、腱反射、疼痛に対する四肢の動きの左右差 → 
  • 器質的疾患またはてんかんの可能性が高い
  • ミオクローヌス(羽ばたき振戦など) → 代謝性の異常(肝性脳症、尿毒症など)や、薬剤性を疑う(抗生剤、制吐薬、オピオイド、抗パーキンソン病薬、抗痙攣薬、抗精神病薬、抗うつ薬など)

羽ばたき振戦の参考:https://www.youtube.com/watch?v=YphjuZBJVkI

GCS

検査

脳波検査の適応

American Clinical Neurophysiology Society (ACNS)のエキスパートコンセンサスは以下の場合推奨

  • 痙攣後に意識状態が改善しない
    • 頓挫後、30-40分経過しても意識が改善せず昏睡状態の場合、非痙攣性てんかん重積状態を疑い、緊急脳波検査を
  • テント上の脳外傷で意識障害がある時
  • 変動する意識状態、また意識障害の説明がつかない時
  • 脳波測定で(非持続)で、周期性の放電が見られる時
  • てんかんのリスクがある患者に筋弛緩薬を用いる時
  • 痙攣様の動きが見られた時

髄液検査の適応

  • 発熱や強い頭痛、人格変化や痙攣を伴う場合、細菌性、ウイルス性髄膜炎を疑い髄液検査を考慮する。
  • 糖、蛋白、細胞数と分画、必要に応じてGram染色、培養検査、ヘルペスPCR、墨汁染色やギムザ染色を考慮する。

内科一般」のほかの記事

無断複写・転載を禁じております
利用規約
©Genpaku